オンリーワンの存在価値
キャデラックやハマー、そしてコルベット…。敷地内に並ぶのは威風堂々したアメ車たち。それもクラシックカーと言って良いほどの年式のものばかりで、豊かさの象徴であり、人々の羨望の的となっていた古き良き時代のアメ車たちが居並びます。
ここは日本でも数社しか存在しないコルベットを始めとするクラシックカー、ヴィンテージカーなどのレストアファクトリー。遠くは東北や関東からわざわざここへ車両搬入されるほど名の知られたボディショップです。
「たまたまアメリカに旅行に行った際、コルベットの部品供給販社の存在を知って、これなら自社工場でもできるかなと思っただけのことです」と謙遜する吉田社長ですが、自社にとってのオリジナルとは何かを探求し続けたポジティブ思考がなければチャレンジできなかったはず。言葉の奥底にオンリーワンとなった自社への自負心と、それを成し遂げたスタッフへの強い信頼が読み取れました。
いまだ道の途上
「ここでしか提供できない技術」を誇るストックスインク社はスタッフにも絶大なモチベーションをもたらします。ペイントとボディワークの主要技術者である樋口雅一さんは「まずクルマとしての魅力に溢れた車両ばかりです。カーオーナーからの要求もハイレベルですが、1台ごとにスキルアップする手応えを感じます」と、吉田社長同様に前を向く姿勢を持った方。カーオーナーにとってみれば、他ではできないからストックスインク社に持ち込むのではなく、ここでなら「クルマを愛する」という価値観を共有できるから、わざわざ車両を搬入していることが読み取れました。
「クルマが持つ独特のヒストリーやドラマ性に惹かれる若者が少なくなったことは残念ですが、私たちクルマのプロがクルマへの夢や憧れを大事にし続けていれば、少しずつでも裾野は広がっていくはずです」と吉田社長。ものづくりニッポンの底力と真摯な情熱に溢れたボディショップでした。